発作時脳波

ここでは発作時脳波について説明しています。

発作時脳波について

脳波は通常、発作ではない時、つまり発作間欠期に記録されます。

これを発作間欠期脳波と呼びます。

発作間欠期には、てんかん性の異常放電がみつかることがあり、これのみでてんかんの診断をするわけではありませんが、てんかんの診療をする際に有用です。

しかし、発作間欠期におけるてんかん性異常波の意義、評価には限界があります。

つまり、てんかん性異常波はてんかん症例のすべてに現れるわけではなく、一方でてんかんでない人の脳波でもてんかん性異常波が認められることがあるからです。

また、脳波はその時の覚醒、睡眠の状態によっても情報が変わります。

このように発作間欠期脳波には限界があります。

発作時脳波は、発作時に脳波を記録することにより、間欠期とは違った意義の情報を得ることができます。

また、多くの場合に脳波にビデオを併用して、どのような動きが出た時にどのような脳波変化が起きたのかを確認することができます。

発作時脳波の意味

てんかんの診断

発作時脳波の意味について考えますと、まずはそもそも問題となっている動き・発作について、それがてんかん発作であるかどうかの鑑別に役に立ちます。

ときにてんかん発作の鑑別は簡単ではないことがあります。

例えば、その代表的な状態には心因性非てんかん発作があります。

この状態に関しては別の記事でも紹介していますのでご参照下さい。

「心因性非てんかん発作(PNES、偽発作)」

心因性非てんかん発作は、その人により、この発作型のみを持つ方もいれば、てんかん患者に合併することもあります。

したがって、これらの鑑別が容易ではない場合に、どの発作・動きに対して治療をすればよいのか分かりにくくなる場合があります。

このような場合に、発作時脳波は有用です。

また、別の記事でてんかんとの鑑別が必要な状態についてもご紹介しています。

これらの動きの診断・鑑別にも発作時脳波が役に立つ場合があります。

「乳児自慰」

発作型の診断

てんかん発作のなかでも、どのような発作型なのかを鑑別する際にも発作時脳波は有用です。

例えば、比較的一瞬の動きが特徴であるミオクロニー発作や倒れてしまう転倒発作などで役に立ちます。

転倒発作は、脱力して倒れてしまう場合や、ミオクロニーを伴う場合などバリエーションがありますが、一瞬の出来事のため見た目だけでの診断が困難な場合があります。

このような場合に表面筋電図を併用して、筋肉の動きと脳波変化との関連性を調べることもできます。

発作起始の評価

発作時脳波の所見で重要なのが発作が始まった瞬間、もしくはその前の脳波所見です。

なぜなら発作によっては多くの場合、気づいた時には大脳全体に発作波が広がっており、始まった時から全体(全般発作)だったのか、発作の始めは部分だったのか(焦点発作)だったのか判別が困難です。

症例によっては例えばてんかん外科における焦点切除が重要な治療になることがあり、このような場合にも発作起始・焦点の評価のため発作時脳波は重要です。

発作時脳波の限界

発作時脳波には限界もあります。

まずは、ある程度の発作頻度がないと発作時に脳波を記録することは困難です。

多くの場合、長時間脳波でも記録期間は数日間です。

したがって、数日間のうちに発作がでる可能性がある場合に検査を行うことになります。

また、、発作の時には全身、体のどこかが動いている場合も多いため、これらの動きの信号(motion artifact)が脳波に混入し、脳波の評価が難しい場合もあります。

発作時脳波は大変有用で、発作間欠期脳波で得られない情報が得られますが適応も判断することが重要です。