ここでは小児の運動発達について説明しています。
はじめに
発達全体にも言えることですが運動発達にも様々なバリエーションがあります。
その代表的なものにいざりっこ症候群(シャフリングベビー)などがあります。
マイルストーンとしての運動発達の指標を理解して、評価することが重要です。
乳児期の粗大運動・微細運動発達
生後3-4か月 くびが座る(頚定)
生後5-6か月 寝返り
生後7-8か月 ひとり座り
生後8-10か月 はいはい
生後10-12か月 伝い歩き、一人で立ち上がり
生後12-15か月 ひとり歩き
生後18か月(1歳半健診) ひとり歩きを獲得しているか、積み木を2-3個積めるか確認
3歳 走る、足を交互に出して階段を一段ずつ昇る、一段ずつ足をそろえて降りる、開眼して数秒片足立ちをする
6歳 片足立ち、片足とび、スキップ、はさみを使い紙を色々なかたちに切れる
運動発達の遅れ
運動発達の遅れを明確に評価する定義はありませんが、目安として90%の児が獲得している発達段階に達していなければ、運動発達の遅れとして考えます。
運動の発達が遅れている場合、可能な限りその要因について評価します。
例えば運動以外の発達はどうか、運動発達に関しては筋力低下や筋緊張低下があるか、などです。
筋緊張には、筋の固さ(consistency)、被動性(passivity)、伸展性(extensibility)といった分類があります。
また、周産期を含めた既往歴や家族歴なども大切です。
例えばいざりっこ症候群などは血縁者に同様な発達パターンをとる方がある場合があります。
また、発達はワンポイントでは評価が難しいことも多く経過を観察することでどのような発達パターンをとるのか、ということを評価することも大切です。
頻度としては、運動の発達がゆっくりだった場合は、発達のバリエーションで異常・病的な遅れでないことも多いですが、頻度は稀でも治療介入を早期に行いたい、脊髄性筋萎縮症やポンぺ病などもありますので注意が必要です。
これらは筋緊張低下を伴いますので、やはり運動発達の遅れがあった場合に筋緊張低下を合併しているか、ということは大切です。