Rett症候群

この記事ではRett(レット)症候群について説明しています。

はじめに

Rett症候群は特徴的な徴候を認め、てんかんを併存することがある症候群です。

症状

主に女児に発症します。

徴候としては、乳児期から体がやわらかい(筋緊張低下)という症状で発症し、その後に運動の発達の遅れ、自閉、知的な発達の遅れなどのサインを認めます。

幼児期からは手の運動機能が失われ、いわゆる「手もみ様」の動作を繰り返す常同運動が出現します。

また、幼児期以降にこれまでできていたことができなくなる「退行」という徴候を認めます

このようにこれらの症状は、年齢により異なることがRett症候群の特徴です。

特徴的な上記の症状の他にも無呼吸・過呼吸などの呼吸異常や、睡眠リズム障害、歩行異常、歯ぎしり、側弯、不整脈なども合併することがあります。

原因

原因遺伝子としてmethil-CpG-binding protein 2 (MECP2)遺伝子が判明しています。

それ以外にも、cyclin-dependent kinase-like5 (CDKL5)遺伝子やForkhead box G1 (FOXG1)遺伝子も原因となり得ます。

治療

上記の様々な症状に対して、治療・対応を組み合わせるかたちになります。

例えば運動発達に関しては、理学療法・作業療法を行いながら側弯の進行がないかをフォローする、必要に応じて睡眠の管理を行うなどです。

てんかんに関しても、他のてんかん症候群と同様に発作の頻度、発作型などにあわせた治療が原則です。

しかし、Rett症候群の場合は合併症を考慮した薬剤治療が特に重要になります。

例えば、歩行障害・ふらつきなどを合併する場合に、それらを悪くしてしまう可能性がある抗てんかん薬を避ける、飲み込みが苦手な場合は口腔内分泌物を増やす可能性のある抗てんかん薬をなるべく避ける、などです。

てんかんも難治性な場合があるために、発作の完全抑制を目標とせずに合併症を考慮した治療が必要な方もおられます。