この記事は、てんかん重積状態(status epilepticus:SE)、けいれん重積について説明しています。
はじめに
てんかん重積状態は、緊急な対応が必要な神経緊急症のひとつです。
てんかん重積は「てんかん」という用語が入っていますがてんかんのみならず様々な状態で引き起こされるけいれんや発作が遷延した状態を指します。
これまで様々な定義が用いられていましたが、2015年に国際抗てんかん連盟(ILAE)がSEを「発作停止機構の破綻、あるいは異常に遷延する発作を引き起こす機構の惹起に起因する状態で(t1)、を発作型と持続時間に応じて神経細胞死、神経細胞障害、神経ネットワーク変化などの長期的な後遺症をもたらしうる状態(t2)」と定義しました。
臨床的にはt1を治療を開始すべき時間、t2を後遺症を防ぐために積極的な治療を開始する時間です。
例えばTonic-clonic SEのt1は5分で、t2は30分です。
しかし、一方でabsence SEのようにt1は10-15分で、t2はunkonownとしている発作型もあります。
また、SEはけいれん性てんかん重積(CSE)と非けいれん性てんかん重積(NCSE)に分類されます。
非けいれん性てんかん重積(NCSE)
NCSEは、けいてんという運動症状を認めず、軽微な意識障害、異常行動、幻覚など多彩な症状が遷延する状態です。
診断が容易でない場合も多く、脳波による診断が基本になります。
NCSEのリスクが高い状態の場合に、臨床的に発見することが容易でないため持続脳波モニタリングが推奨されています。
Youtubeにてんかん重積状態(Status Epilepticus)の脳波所見について解説している動画がありましたのでリンクします。