抗てんかん薬にはたくさん種類があるため、それぞれどのように違うのか、どのように医師と相談して決めていくのか分かりにくいところがあると思います。
ここでは、まず抗てんかん薬とはどのような薬剤なのか、について説明したいと思います。
抗てんかん薬を飲む目的
抗てんかん薬はてんかん発作を予防することを目的に内服する薬です。
つまり、これから起こる(かもしれない)発作を起きないようする、もしくは発作を軽くする作用を期待して内服します。
追加の効果として、気分を安定させる、頭痛にも効果があることもありますが、主な作用は「発作の予防」になります。
抗てんかん薬はどのようにして効くのか(作用機序)
なぜ、抗てんかん薬により発作が抑えられる可能性があるかというと、簡略化して言いますと、脳の過剰な活動を抑えるから(もしくは過剰な活動を抑える力を増強するから)です。
てんかん発作は、脳の神経細胞の過剰な興奮が発作性に起きることによっておきると考えられています。
しかし、われわれは脳を使う時に普段から、脳の一部を興奮させて、一方では抑制させて、微妙なバランスのもとに脳を使っています。
抗てんかん薬は、可能な限り過剰な興奮を抑える、もしくはそれを抑える力を強めることによって効果を発揮します。
抗てんかん薬の課題について
これだけでも、脳のなかで必要な部分だけ内服薬で抑えるということが難しいということが想像できるのではないかと思います。
必要な効果が発揮できない(発作が抑えられない)、もしくは余計な作用がでてしまう(脳の活動を抑えてしまい眠くなってしまう)などの心配もあります。
どの薬剤でもそうですが、抗てんかん薬は薬を飲むことのメリットとデメリットを天秤にかけ、必要性が上回るときに内服するという選択をして頂くことをお勧めします。
幸いなことに、近年日本で処方できる抗てんかん薬は、種類が増えてきています。
一方で、複雑な作用機序をもつ薬剤をどのように使い分けていくのか、ということについては難しさが増している、とも言えます。
この辺りを根拠(エビデンスと言います)をもとに薬を選択する、選択できるようになることが今後の課題だと思います。
最後に
今後は、どのような方にどのような薬剤がより適しているのか、というデータが集積されて、治療が進歩していくことを期待しています。
本人・家族の意見、ライフスタイルなどを考慮して、主治医との相談のもとに長期的に考えていくことが大切だと思います。