ここでは、特殊なてんかん症候群のひとつであるLamdau-Kleffner症候群(ランドウ・クレフナ―症候群)・CSWSについて説明します。
はじめに
Lamdau-Kleffner症候群・CSWSは、比較的まれなてんかん症候群のひとつですが、てんかん性脳症のひとつとしては大切な症候群です。
以前、別の記事でてんかん性脳症について説明していますので、ご参照下さい。
てんかん性脳症は、てんかん性活動を早く終息させることにより、予後の改善が期待されます。
その一方で、発作の頻度が多いわけではないために、医療者側にも良く認知・把握されずに過ぎてしまう可能性があります。
したがって、てんかん患者における認知機能の退行に際してはこれらの症候群を鑑別することが大切です。
Lamdau-Kleffner症候群
正常に発達していた3~8歳までの小児に発症します。
男児の方が女児よりも多いといわれています。
最も特徴的なのは「聴覚失認」を進行性に認める点です。
「聴覚失認」とは聴力検査などで異常を認めないものの、言語・音の理解が出来ない状態です。
聞き返しが増えて、聞こえていないような症状で気づかれます。
脳波では、睡眠時増悪するてんかん重積状態と類似した全般性の棘徐波が連続します。
てんかん発作は70%で認められます。
治療は、抗てんかん薬、ステロイド療法、免疫グロブリン療法を行う事があります。
また、言語障害に対するリハビリテーションも必要になることがあります。
予後は、これらのてんかん発作と脳波異常は多くの場合思春期までに改善します。
しかし、言語障害などの症状は残存することが多いと言われています。
CSWS症候群(睡眠時持続性棘徐波を示すてんかん性脳症)
CSWSとはcontinuous spike-wave during slow wave:睡眠時持続性棘徐波のことをいいます。
CSWSは原則的に脳波所見を指しますが、CSWSそのものでてんかん症候群を指している場合もありますので注意が必要です。
てんかん性脳症の稀な症候群のひとつになります。
症状は、てんかん発作、認知機能退行や行動異常です。
てんかん発作は様々で焦点発作、全般性けいれんなどがありますが、非定型欠神や脱力発作、特に陰性ミオクローヌスが特徴です。
睡眠中に発作が起こりやすいと言われています。
発作の発症は4~5歳くらいが多いですが、退行・認知機能障害はそれ以降に起こることが典型です。
基礎疾患に多小脳回を認めることがあります。
まれな症候群のため治療は確立されておりません。
各種の抗てんかん薬やステロイド療法などが有効だったという報告があります。