てんかん・てんかん発作の症状にはどのようなものがあるのか?

ここでは、てんかんの症状について説明していきます。

この記事をお読みになる前に、まず「てんかん」とは何かということ知りたい方は、当サイトの「てんかんって何?」をご参照下さい。

てんかんの症状は?

てんかんの主な症状は、「(てんかん)発作」です。

広い意味ではてんかんに合併しやすい精神障害、知的障害、発達障害なども症状のひとつといえると思います。

てんかん発作には、様々な種類があることはご存知と思いますが、ここではもう少し詳しく説明します。

最もイメージしやすい発作は、意識を失い全身をぎゅーと固くし、がたがたして白目をむいて、ときにはよだれがでたりして、多くの場合それが数分間持続する、いわゆる「けいれん」だと思います。

けいれんはあくまで症状ですので、「けいれん=てんかん」ではなく、けいれんを呈する病気はたくさんあり、そのなかにてんかんという病気があります。

例えば、小児においてけいれんが起こる代表的な病気に「熱性けいれん」があります。

熱性けいれんについては以下の記事もご参照下さい。

「熱性けいれん」

その一方で、てんかんの発作のタイプは様々であり「けいれん」を引き起こす発作もあれば、けいれんしないでぼーとして終わる発作もあります。

これから各発作について説明します。

強直間代発作

最もイメージされやすい発作が強直間代発作だと思います。

言葉で形容すると「全身をぎゅーがくがくとさせる発作」です。

ぎゅーがメインなら強直(きょうちょく)発作、がくがくがメインなら間代(かんたい)発作、ミックスしていれば強直間代発作と言います。

Youtubeで公開されている強直間代発作(Tonic Clonic Seizure)の再現映像をリンクします。

発作の対応に関しても説明してある良い動画だと思います。

引用:Epilepsy Toronto

欠神(けっしん)発作

数秒間ぼーとして意識がぼんやりする発作は、欠神(けっしん)発作です。

急に動作が止まり(動作停止)、ややうつろな表情になります。

まぶたをぴくぴくとさせる、口をもごもごさせるという動作(口部自動症)を伴うこともあります。

発作中に倒れることは通常ありません。

発作の前後に意識障害を認めることも通常なく、発作は突然始まって突然終わります。

過換気(風車を吹く、食事を口で冷ますなど)で発作が誘発されます。

以下に欠神発作(Absence Seizure)の動画のリンクします。

少し古い動画ですが、実際の患者さんと思われる動画です。

引用:Epilepsy Toronto

欠神発作を主な発作症状とするてんかん症候群に小児欠神てんかんがあります。

「小児欠神てんかん」

複雑部分発作/焦点意識減損発作

突然ぼーとして反応がなくなり、ときに口をもごもごさせたり手を動かしたりする動作(自動症)を伴う発作を、複雑部分発作と呼んでいました。

欠神発作と異なり、通常数分間の持続があります。

この発作型に引き続いて全身のけいれんの発作に移行することがあります。

古い発作分類では意識障害を伴う発作を「複雑」と呼んでいましたが、医学的に適切ではないという理由で、近年は意識減損という用語を用いるようになっています。

また、同様に「部分(partial)」という用語も「焦点(focal)」という用語に置き換わるようになっています。

引用:Epilepsy Toronto

瞬間的に、全身のどこかをびくっと動かす発作をミオクロニー発作といいます。

乳児で、両手両足(ときに体幹や頭部も)をびくっとさせる動きを約10秒間隔で繰り返す発作を、点頭(てんとう)発作といいます。

すごく簡略化して言いますと、これらが発作の種類になります。

発作の種類はたくさんあります

専門家はてんかん発作をもう少し詳しく分類、解析していますが、分類の方法も様々ですし、数年ごとに分類方法も変わる可能性があります。

てんかん発作の種類もその方により千差万別です。

発作の観察は大切

発作の様子を動画に撮ることも有用(ただしご本人の救護活動が優先)

そのため発作を観察(ときには発作の様子を携帯電話の動画で取って頂くなどの方法を活用)し、主治医と一緒に考える作業が必要だと思います。

診療のなかでも、その患者様の発作のかたちがよく分からないことはあり得ます。

このような場合は、むしろ無理に発作の分類にこだわらず、「現時点では決定できない」ということにしましょうという方針になってきています。

個人的にはこの動きは賛成です。

なぜなら、発作のかたちを無理に決めてしまうと、診断の見直しに支障がでることがあるというのが一つの理由です。

診断の見直しは、診療のどの場面でも重要だと思われます。

無理に決定する必要はなく、まず慎重にアセスメントする姿勢が大切だと感じているからです。

海外のデータですが、てんかんの専門施設に紹介となるてんかん患者のうち2-3割は真のてんかんではなかったというデータもあるくらいです。

そのくらい診断は慎重にすべき、という警鐘を鳴らしていると思います。

最後に

ここまで文章で説明してきましたが、実際に動画で見て頂くことを個人的な意見としてお勧めしています。

やはり言葉よりも動画のもつ情報量の多さは明らかな強みです。

発作の動画は国際抗てんかん連盟(ILAE)の公式HPなどでもアップされています。

Youtubeもお勧めです。

Youtubeにアップされている動画がすべて正しいわけではありませんのでご注意下さい。

自分自身が確認した限りでは、良質な動画もたくさんありました。