てんかんと発達障害(自閉症・ADHD)について

ここではてんかんと発達障害(自閉症・ADHD)の関係について説明したいと思います。

発達障害とは

そもそも発達障害とは何でしょうか。

まず、診断の変遷などがあり、最近は神経発達症とも呼ばれますが、一般的には発達障害という名の方が通っていますのでここでは発達障害と呼びます。

代表的には、いわゆる自閉症(自閉症スペクトラム障害:Autism spectrum disorder, ASD、広汎性発達障害:Pervasive developmental disorders, PDD)、注意欠如/多動性障害(Attention-deficit/hyperactive disorders, AD/HD)、学習障害(Learning disorders, LD)などをまとめて発達障害と総称します。

ここで強調したいのが、これらの総称ですので脳の機能異常という状態は共通していても、均一な病気の状態では全くないということです。

ただ、多くの場合に幼児期からそのお困りごとが表面化してくる、その徴候が現れることの理解は重要だと思います。

てんかんと発達障害の関係

ひとつの事実として、てんかんの方が発達障害を合併する率は、一般の方よりも多い、というデータがあります。

てんかんも発達障害も脳の機能異常ということは共通していますので、もともとのご病気の根っこが同じで、その表現型が「てんかん+発達障害」という状況がひとつ考えられます。

しかし、話はそこまで簡単ではなく、、

てんかんの病状が安定しないことにより、行動・社会性に悪影響がでたり、機能異常が進行することもあります。

これを専門用語で「てんかん性脳症」と言います。

さらに、発達障害は、行動・社会性の問題ですので、周囲の環境や年齢などにも症状は影響されます。

さらに、抗てんかん薬も影響する可能性があります。

また、知的能力も関係してきます。

かなり複雑であることがご理解頂けたかと思います。

しかし、大切なのはこれらの情報を知りながら、患児に接すること・日常生活での気づきを得ることが大切だと考えています。

例えば、

最近、発作が多いから、行動面の変化はどうだろう?

今までできていたことが出来なくなっている?

最近、新しい薬始めたけど、生活で変わったことはないか? など

逆に、

発作が落ち着いてから発達がすすんで出来ることが増えた!

などです。

最後に

医師の立場としては、やはり短い診療時間で、その子のことをすべて把握することに限界も感じることがあります。

そのような場合、普段の姿を知る方(保護者、学校・保育園の先生など)の情報は本当に貴重です。

特に行動・社会性の問題である発達障害は、それが顕著だと思います。

当サイトの情報をもとに担当医とご相談頂いて、それがより良い診療につながることを祈念しています。