熱性けいれんプラス

ここでは、「熱性けいれんプラス(generalized [genetic] epilepsy with febrile seizures plus:GEFS)」について解説しています。

はじめに

過去の記事で、熱性けいれんとドラべ症候群(Dravet症候群)についても解説しました。

熱性けいれん」

「ドラべ症候群(Dravet症候群」

これらの類縁の疾患として、熱性けいれんプラスという状態があります。

その名前の通り、熱性けいれんに何かしらプラスされたイメージです。

具体的には、熱性けいれんの好発年齢から少し外れた年齢でけいれんが残っていたり、熱がない時にけいれんを認めるなどです。

また、ご家族の方に熱性けいれんの既往があることが多いです。

これらの疾患群の共通点は、熱をきっかけにけいれんや発作が起きることと遺伝子異常です。

症状

熱性けいれんは、一般的に6歳までに自然に良くなることが多いです。

しかし、6歳以降に熱によるけいれんが起きる=熱性けいれんプラスではありませんので注意が必要です。

熱性けいれんプラスは、6歳以降に様々な発作を来し得る疾患です。

熱性けいれんプラスはドラべ症候群の類縁疾患ですが、一般的に予後(発作や発達)は経過が良いこと多いです。

しかし、ドラべ症候群も熱性けいれんプラスも明確に境界が決まっているわけではなくオーバーラップする病態と考えられています。

遺伝子

遺伝子の解析が進んだことにより、一部の熱性けいれん、熱性けいれんプラス、ドラべ症候群(Dravet症候群)は、電位依存性Na+チャネルのサブユニットをコードする遺伝子(SCN1Aなど)の異常が共通していたことが分かりました。

共通の遺伝子変異なのになぜこれだけ疾患の幅が広いのか、という点については現在も研究がすすんでいるところです。

治療

発作の頻度や重篤度を考慮して抗てんかん薬の調整を行います。

ドラべ症候群と同様に発作を悪くする可能性がある、Naチャネル阻害薬(カルバマゼピン、フェニトインなど)は避けた方が良いと考えられます。