けいれんを呈し、てんかんと鑑別を要する状態に銀杏中毒があります。
はじめに
銀杏(ぎんなん)は、大量に食べるとけいれんすることがあります。
特に、小児では銀杏を大量に食べることによってけいれんしやすいという特徴があります。
古くから「銀杏は年の数以上食べてはいけない」という言い伝えがあるほどです。
けいれんの機序
興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸は、抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)にグルタミン酸脱炭素酵素(GAD)により変換されます。
また、ビタミンB6の補酵素型であるピリドキサール5′-リン酸(PLP)は、GADの補酵素として働きます。
銀杏に含まれる4′-O-メチルピリドキシン(MPN)が、PLPの産生を阻害することにより、脳内の興奮・抑制バランスが崩れてけいれんすると考えられています。
診断
銀杏を多量に摂取するとけいれんすることがあることは、それほど知られていないため、まずは銀杏の摂取歴を確認すること大切です。
けいれんは群発する傾向があり、嘔吐を伴うことが多いです。
また、偏食が基礎にある場合があります。
確定診断には血清・尿・髄液いずれかのMPN濃度が高いことを証明することによります。
MPN濃度は急速に感度以下になるため発症直後の検体採取が大切です。
治療
ビタミンB6製剤(リン酸ピリドキサール 2-8mg/kg)の静注・もしくは経口投与が主な治療となります。
再発予防も大切です。