知的能力障害(Intellectual disorders、知的発達症・知的発達障害)

はじめに

ここでは知的能力障害(Intellectual disorders、知的発達症・知的発達障害)とはどのような状態、どのような障害なのか、ということについて説明しています。

これまでいわゆる「知的障害」と呼称されていましたが正式には知的能力障害という名称です。

DSM-5では、神経発達症のなかに知的能力障害が分類されています。

古くは精神遅滞(mental retardation)とも呼ばれていました。

現在の定義としては、「18歳までの発達期に、標準化された知能検査において知的能力障害を認め、それにより家庭や学校、職場などへの参加・適応に支障をきたしている状態」を指します。

知能検査においてIQ 70以下であることが目安とされていますが、数値のみの画一的なものではなく、日常生活への支障の程度を重要視しています。

重症度分類

DSM-5では以下のように重症度を分類しています。

  • 軽度(およそIQ 50-70):基本的に自立しているが助言を要する
  • 中等度(およそIQ35-50):生活にかなりの支援を要する
  • 重度(およそIQ20-35):生活のすべてにおいて支援を要する
  • 最重度(IQ25以下):生活すべてを他者に依存している

全般性発達遅滞(Global Developmental Delay)

小児の発達期における発達・知能の状態を評価を行うことは困難が生じます。

したがって、暫定的に5歳未満の発達がゆっくりな状態を暫定的に全般性発達遅滞(Global Developmental Delay)としましょう、とDMS-5で定義しました。

全般性発達遅滞の原因は様々で、後に知的能力障害と診断される場合もあれば、ADHDや学習障害と診断される場合もあります。

あくまで発達途上にあるこどもにおいて発達の遅れがどのような状態に起因しているのか、ということを経年的にみていきましょう、という状態であると理解されます。

知的能力障害の支援・対応

知能検査や日常生活の自立性、併存症の有無をすべて考慮した個別性の支援が必要となる。

社会的支援として、知的能力障害を対象として療育手帳による福祉制度があります。

とくにIQが境界、もしくは軽度知的能力障害の場合に、不適切な対応により不登校などの適応に問題が出てくることが多く注意を要します。