注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(Attention Deficit Hyperactivity Disorder; ADHD)は今では良く知られた疾患です。

ただ、他の発達障害と同様に適切に理解されているか難しい疾患だと思われます。

この記事ではADHDの概要・診断・対応などの一般的な内容について説明したいと思います。

はじめに

疾患名の通り注意欠如と多動を呈する発達障害(神経発達症)の代表的な疾患がADHDです。

発症には、遺伝的な要因(生れ持った特性)と環境的な要因が関与していると考えられています。

他の発達障害と同様に血縁・家族の方にADHDの方がいらっしゃることがあります。

ADHDは、さまざまな文化圏においてこどもの5%、成人の2.5%という有病率が報告されており、かなり一般的な疾患といえると思います。

しかし、注意欠如と多動を認める方が皆イコールADHDというわけではありません。

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診断

ADHDの診断は、医療機関において症状や特徴が診断の基準を満たしたときに行われます。

これも他の発達障害と同様にある検査が陽性だからADHDというものではありません。

検査は他の病気の鑑別には役に立つことがあります。

しかし、最終的にはその方の特性・特徴がADHDらしいかどうかが大切となります。

現在用いられてる診断基準では、12歳になる前から不注意や多動といった症状が認められることが必要になります。

「不注意」とは具体的に勉強や仕事などの際に必要な注意を払えない、注意を持続できない、人の話などを聞いていないようにみえる、忘れ物が多い(ものをなくす)、約束を忘れる、などがあります。

「多動・衝動性」は、理解をしていても動いてしまう、席を離れる、質問が終わる前から出し抜けに答えてしまう、順番を待てない、などが具体的な症状です。

また、これらの症状が2つ以上の状況(家庭、学校、職場など)で認められ、それにより、ご本人もしくは周囲が不利益を被っていることがおおまかな診断基準です。

「いくつかの状況」とは、色々な方の観察・情報が重要であることを示しています。

似たような症状を呈する鑑別疾患に知的障害、マルトリートメント、虐待、自閉症との併存、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、ナルコレプシーなど)、甲状腺機能亢進症、聴覚障害などがあります。

したがって、これらの鑑別のため知能検査、脳波、血液検査(甲状腺機能)、聴力検査などの検査を行うことがあります。

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治療・支援

残念ながら根本的な治療は存在しないものの、様々な治療・支援・対応があります。

具体的には「環境調整」、「保護者・本人の訓練(行動療法・心理社会的療法)」、「薬物療法」などです。

また、これらを組み合わせることもあります。

「環境調整」は、家庭・学校などがその子の特性を理解して連携して実行することが大切です。

情報が一気に入ってくると処理できない特性をADHDの方はもっているため、例えば「指示を出すときにはひとつずつにする」、「教室などで色々なものが目に入らないようにする」などです。

また、視覚的な情報が特異な場合が多いため、視覚的な情報を用いて見通しを立てやすくすることも大切です。

治療・支援は個別性が高く、さらに継続性が必要なため、困っている症状があれば、学校や保健センター・医療機関など様々な部署と連携することをお勧めします。

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