ここでは若年ミオクロニーてんかん(juvenile myoclonic epilepsy:JME)について説明します。
比較的頻度の多いてんかんではありますが、ミオクロニーという発作にあまり気づかない、気づかれない場合もあるため注意が必要です。
これからそのポイントについて解説していきたいと思います。
若年ミオクロニーてんかんとは
発症年齢は?
主に思春期に発症するてんかん症候群です。
どのような発作か?
ミオクロニー発作が主な発作型ですが、全身のけいれんも認めることがあります。
早朝や起きがけに発作が多く起きます。
Epilepsy Societyというイギリスの団体がYoutubeにアップしている動画を参考までにリンクしておきます。
この動画のように典型的には、朝食の時などにものをこぼしてしまう、落としてしまうというエピソードが特徴的です。
ミオクロニー発作とは、一瞬の筋収縮による運動(ぴくっとする)ですが、その大きさは様々です。
大きなものですとスプーンなど持っているものを放り投げてしまうくらいの発作もありますし、本人は少し震えていると表現するくらい小さいものもあります。
また、ひざに起こると転倒してしまうことがあります。
これらの発作は、てんかん発作と認識されず、ただ単に物を落としてしまった、転んでしまった、と判断されてしまう場合がありますので注意が必要です。
患者さんによっては全身のけいれんがおきて医療機関を受診し、よくよく考えると以前からミオクロニー発作があった、というケースがあります。
光に反応する光過敏発作をきたすことがあります。
誘因は?
睡眠不足や飲酒、薬の急な中止などが誘因となり得ます。
これら以外にもストレスや疲労、生理(月経)なども誘因となる場合があります。
逆に日常生活で、これらの誘因を可能な限り避けることも大切な治療の一環です。
脳波所見は?
脳波では、全般性多棘徐波複合を認めます。
また光刺激によりてんかん性異常波が誘発されることがあります。
Youtubeで若年ミオクロニーてんかん(Juvenile Myoclonic Epilepsy)の脳波について解説している動画がありましたのでリンクします。
治療は?
もっともよく若年ミオクロニーてんかんで用いられる薬はバルプロ酸という薬です。
女性の場合にはバルプロ酸の使用は少し注意が必要ですので、別の薬(ラモトリギンなど)を用いることがあります。
バルプロ酸の副作用については別の記事もご参照下さい。
幸いなことに若年ミオクロニーてんかんは薬が有効なことが多いてんかん症候群です。
しかし、残念ながら薬を中止すると再発することも多いため慎重な薬剤の減量中止が必要です。
その理由は、思春期に発症されて、うまく発作がコントロールされた場合、丁度、薬の減量中止を考慮する時期が、20歳前後となるからです。
そのため、ご自身のライフスタイルを考慮した治療の選択が必要となります。