てんかんと光刺激(ポケモン事件)

1997年12月16日の夕方、「ポケットモンスター」で4秒間の12Hzの青・赤点滅の映像により、約700人もの光感受性発作が発生するという出来事がありました。

これをきっかけにクローズアップされたてんかんと光刺激との関連性について説明したいと思います。

光感受性てんかん

光感受性てんかんとは、反射てんかんの代表的なタイプのひとつです。

反射てんかんに関してはこちらをご参照下さい。

脳波検査の途中で光を点滅させる検査があると思います。

その光は規則的に、遅い点滅と早い点滅があったのではないかと思います。

てんかんは多様な種類がありますので、全部のてんかんがというわけではないのですが、その一部に光に反応するタイプのてんかんがあります。

また、光刺激に対する反応も様々で、正常の反応として脳波に反応が出るタイプ、脳波で光刺激により異常波は検出されるが発作は認められないタイプ、光刺激で発作が誘発されるタイプなどがあります。

さらに、光の色(青と赤の交互)、周波数なども関係してきます。

てんかん症候群では、若年性ミオクロニーてんかん、覚醒時大発作てんかん、後頭葉てんかんなどが、光感受性を合併しやすいタイプになります。

また、光のみならず図形(縞模様・水玉など)をみることでで誘発される場合もあります。

臨床的には、エスカレーターの床や、窓のブラインドなどで良く経験されます。

光も含めて、発作の誘因がある程度分かれば、日常生活の注意に生かすことができるかもしれません。サングラスを用いることもあります。

また、ポケモン事件の際に発作が起きた方の多くは、過去にてんかんと診断されていた方ではなく、これが初回のエピソードでした。

このことから、明らかなてんかんと診断されて症状があるひと以外にも、「体質」のような感じで光に対する反応を持っている方がいるのではないかと考えられます。

特定の光パターンという刺激さえなければ何ら症状なく生活していて、たまたま誘発されてしまったという状況です。

最後に

「てんかんだからテレビはだめですよね」、と聞かれることがありますが、このような出来事もあり、現在は映像に関するガイドラインが策定され、映像の光には配慮がなされています。

過剰な負担とならない限り、気分転換としてのテレビ・動画などは制限する必要はないのではないかと考えています。

その際は、十分にテレビから離れて、明るい部屋で視聴することが推奨されています。

当サイトの情報が少しでもお役に立ちましたら幸いです。