Sturge-Weber症候群

この記事ではてんかんをきたし得る疾患のひとつとして、Sturge-Weber症候群(スタージ-ウェーバー症候群)について解説していきます。

はじめに

Sturge-Weber症候群は、顔面の皮膚毛細血管奇形(ポートワイン斑:port-wine stain)や、脳内の軟膜血管腫などを代表とする血管奇形と、目にも同様な血管病変に起因する緑内障を合併する症候群です。

てんかんは様々な程度で合併し、難治となることがあります。

生れた時から発症しており遺伝子の変異(GNAQ gene)が原因であることが判明しています。

この変異は自然変異であり、遺伝性疾患ではありません。

有病率は20,000~50,000人に1人といわれています

これからそれぞれの症状や治療について説明していきます。

症状

症状のなかで特徴的なのが顔面の血管病変です。

三叉神経という神経が、顔に左右3領域にまたがって支配していますが、そのうちの第一枝という額から瞼にかけて支配している三叉神経の領域に血管病変を認めることが特徴です。

頻度が多いとされているのは頭痛です。

頭痛は片頭痛のかたちをとり、半盲(片側の視野が見えなくなること)や片麻痺(半身が動かなくなる)となることがあります。

データにもよりますが、約80%でけいれん発作を認めます。

発症の多くは小児期・乳児期で、なかなか薬でコントロール困難な難治性であることが多いといわれています(60%)。

頭部画像検査では、CTにおける脳内の石灰化や、造影MRIにおける軟膜血管腫が特徴です。

治療

治療は、合併する疾患・症状に合わせて行います。

特にてんかんと頭痛の治療が大切です。

抗てんかん薬で片頭痛にも有効なことがある薬剤は、バルプロ酸、トピラマートなどがあります。

また、静脈性梗塞に対してアスピリンを低用量で使用することがあります。

前述のように、難治性のてんかんのため薬で発作コントロール困難な場合は外科手術を考慮します。