Aicardi症候群(アイカルディ症候群)

ここではてんかんと関連した症候群のひとつであるAicardi症候群について説明しています。

はじめに

Aicardi症候群は、生まれつき脳と眼のご病気を合併する稀な症候群です。

脳に関しては形成異常脳梁欠損を認めることが特徴です。

脳梁(のうりょう)とは左右の大脳を連絡する線維の束です。

てんかんに関しては、乳児期早期に左右の動きの異なる点頭発作(てんかん性スパズム)を認めることが特徴ですが、それ以外のタイプのてんかん発作を合併することがあります。

点頭発作に関しては以下の記事もご参照下さい。

「点頭てんかん(ウエスト症候群)」

眼に関しては網脈絡膜裂孔が特徴的です。多くの場合に両側性に認めます。

発達遅滞、知的障害、運動障害を合併することが多いです。

また、骨格異常(椎体・肋骨など)を伴うことがあり、側弯症を呈することがあります。

1965年にAicardiが、古典的3主徴として、点頭てんかん・脳梁欠損・網脈絡膜裂孔を呈する症候群と提唱しました。

ほとんどが女児に発症し、遺伝的な要因が考えられていますが、未だ特定の遺伝子変異は同定されていません。

しかし、遺伝的といっても血縁の方にAicardi症候群の方がいらっしゃるわけではなく、ほぼ全例が孤発例です。

検査

脳波、頭部MRI、眼底検査などを実施します。

脳波では、左右の連絡がないことによる左右差のある活動が特徴的です。

点頭てんかんを呈しますが脳波はヒプスアリスミアというより、左右どちらかのサプレッションバースト波形を認めることが多いです。

頭部MRIでは脳梁欠損の他に多小脳回・異所性灰白質・嚢胞などの形成異常を合併することがあります。

引用:Am J Med Genet 2018;178C:423-31.

MRIのT2強調画像を示します。

まず、大脳の容量に左右差を認めます。

点線で囲まれた領域に多小脳回を認め、矢印は単発の脳室周囲異所性灰白質、先が丸の矢印は列になった脳室周囲異所性灰白質を認めます。

*は半球間裂嚢胞を示しています。

眼底診察・眼科診察では網脈絡膜裂孔の他に視神経乳頭・視神経の欠損を認めることがあります。

治療

てんかんに対しては、発作に対する抗てんかん薬内服などの治療が行われます。

てんかんは難治性であることが一般的です。

また、併存する発達・摂食障害に関しての療育やリハビリテーションなどが検討されます。

側弯症を併存する場合は、それに対する治療を検討します。