今回は、ローランドてんかんというタイプのてんかんについて説明したいと思います。
ローランドてんかんとは「中心側頭部棘波を示す良性小児てんかん」や「Benign childhood epilepsy with centrotemporal spikes; BECTS」とも呼ばれてきた比較的、小児で頻度の高いてんかんのタイプです。
概要、診断、治療について説明したいと思います。
はじめに
おおくは7~10歳の小児に発症します。
有病率は男児の方が女児よりも多いと言われています。
発作の特徴は、寝ている時(寝入りばなや明け方が多い)に、のどを鳴らす、または声を出す、苦しそうな息遣いになって気づかれ、顔をぴくぴくさせる・顔を引きつらせて、唾液を出す(あわをふく)などの発作のかたちが典型的です。
引き続いて全身のけいれんを認めることもあります(ここのみ家族に見つかることもあります)。
よくよく本人に話を聞くと発作の時に話せなくても、言っている事は理解できていたり記憶が保持されていることがあります。
発作の持続時間は通常数分間です。
診断
脳波においては、特徴的な所見を認めます。
すなわち病名の通りてんかん性異常波を中心・側頭部という部位に、特に睡眠時の記録で認めます。
画像検査は、ローランドてんかんの場合は正常です。
しかし、他のてんかんのタイプの除外のため画像検査を行うことがあります。
治療
多くの場合、15歳までに発作は消失し、脳波所見も正常化します。
そのため発作頻度が少ない場合は無治療のこともあります。
発作の頻度によっては内服薬による治療を検討します。
最近の研究のトピックとして、これまで知能や脳の機能は異常がないと思われてきたローランドてんかんの方々に、少なからず認知機能障害、注意欠如・多動症を示すことがある、というデータががあります。
また、ローランドてんかんの一部が、あまり良くないてんかん(ABPE、CSWSなど)へ変容していくことがあります。
これらのデータを考慮すると、診断の初期にはローランドてんかんと断定できない場合もありますので、やはり慎重なフォローが必要と思われます。