小児の脳波

ここでは小児の脳波所見の特徴について述べたいと思います。

はじめに

小児脳波の特徴

まず、小児の場合、幼児以下の年齢の検査は原則的に安静を維持することが困難ですので、多くの場合は睡眠時の記録になります。また、施設により多少異なりますが、鎮静薬投与下で記録しています。

ただ、長時間脳波や新生児期にはこの限りではありません。

同様に、過換気などの誘発も指示に従えないと難しく、指示に従えても(成人でも同様ですが)しっかりと換気するのは難しいと思いますので、結果の解釈には注意が必要です。

また、頭皮に汗をかきやすいので基線のゆれが目立つ場合があります。

小児の背景活動(覚醒時・睡眠時)

覚醒時

小児の場合は脳の状態も成人とは異なりますので、その活動を反映する背景活動も小児の特徴があります。

また、年齢ともに背景活動は変化していきますので、読影の際には年齢相応の背景活動を考慮して読影する必要があります。

まず、安静閉眼時に後頭部に認められるα波です。

生後10~12か月ころに後頭部に律動性の活動が認められるようになりますが、まだ5~8Hzと成人に比べてかなり徐波が目立ちます。

基本的に年齢が低いほど、周波数が低くなり振幅が高くなります。

幼児期になると7~9Hzの波形が安定して後頭部に認められます。

また、幼児期に開眼による後頭部α波の減衰(attenuation)が認められるようになります。

しかし、幼児期はまだ頭頂、後頭部にθ波の混入が目立ちます。

学童期には後頭部のα波は8~9Hzとなり、θ波はほとんどみられなくなります。

また、幼児期の後頭部α波は100μVと高振幅ですが、経年的に振幅は下がっていきます。

小児は後頭部α波の左右差が目立つという特徴もあります。

睡眠時

睡眠背景波の特徴は、spindle、humpともに先鋭であることです。見慣れないとsharp waveを見違えることがあります。

また、左右半球の活動の同期性不良は2歳までは許容とすることが多いです(年齢や所見により総合的に判断)。

睡眠脳波の発生は、生後1-2か月くらいでspindle、生後5-6か月でhumpが明瞭となります。また、入眠時過同期が目立ちます。

また、小児期の入眠時には過同期性律動性θ波群発(hypagogic hypersynchronous θ)を認めることがあります。

中心部や前頭部優位に高振幅な徐波が群発しますが、異常波と見誤らないように注意する必要があります。

賦活

次に、過換気によりBuild upが誘発されるのは、低年齢の方が発生率が高くなります。

光駆動によりdrivingが起こるのは生後6か月からで、その周波数も乳幼児では6-8Hzで、その後10, 12Hzと経年齢的に増加します。

異常波と間違えられやすい波形

異常波と間違えやすい小児特有の波形もあります。

代表的なのがPseudo petit mal dischargeで、熱性けいれんの既往をもつ小児に多く、低振幅な棘波を伴う広汎性の不規則徐波群発を呈します。

Pseudo-petit mal discharge/引用Brain Dev 2018; 40: 311-5.

因みに引用させて頂いた論文ではPseudo-petit mal dischargeを認めた群では、熱性けいれんの再発率が脳波正常群より高い(absolute risk 86%, adjusted relative risk 2.00)という結果でした。

14&6/sec positive spikes

陽性(下向き)にとがった櫛状の波形となるためspikeと間違えやすいものに14&6/sec positive spikesがあります。

14&6/sec positive spikes/引用Clin Neurophysiol 2019; 130: 1570-80
引用:Youtube/Jeremy Moeller

14Hzや6Hzの単体もありますが、両方組み合わせて認めることもあります。

睡眠時に認めやすいです。

好発は学童期から青年期です。

引用した論文では14&6/sec positive spikesは海馬の活動と関連しているとしていました。

以上、まだ簡略的ですが小児脳波の特徴について記載しました。今後も工事予定です。