てんかん性脳症とは

今回は、てんかん性脳症という話題についての記事を記載しています。

はじめに

てんかん性脳症とは、てんかん発作やてんかん性の異常活動が遷延することにより、発作以外の脳の機能にも影響を与え、発達や認知機能に問題が生じる状態のことを言います。

「てんかん性脳症」にもこれまでの定義や名称に歴史的な変遷があります。

従来は、年齢依存性てんかん性脳症が、ほぼイコールてんかん性脳症と考えられてきました。

年齢依存性てんかん性脳症とは、新生児期に生じる大田原症候群、乳児期に発症する点頭てんかん(ウエスト症候群)、その後に引き続き発症するLennox-Gastaut症候群などを示しています。

点頭てんかん(ウエスト症候群)に関しては別の記事でもご紹介していますので、参照下さい。

点頭てんかん(ウエスト症候群)

遺伝的な解析がすすみ、早期発症てんかん性脳症(EOEE)という概念が提唱され、

その後、2017年にILAE(国際抗てんかん連盟)は発達性てんかん性脳症(DEE)と呼称しました。

広義には、CSWS(徐波睡眠期に持続性棘徐波複合を示すてんかん性脳症)やLandau-Kleffner症候群が含まれてきます。

年齢依存性

年齢依存性てんかんという呼称があったように、てんかん性脳症の発症年齢には好発年齢があります。

当然、小児期は脳が、成人に比べて極めて急速に変化し、それが発達という状態を形成しています。

経験や学習をもとに、それが脳への刺激となり、脳の状態が変化していきます。

例えば、点頭てんかん(ウエスト症候群)は生後6か月から1歳くらいまでが好発年齢で、脳波でヒプスアリスミアという特徴的な所見を認めます。

その年齢の脳の状態・発達が病態を形成していると考えられています。

最後に

小児期に発達すべき脳の状態が、てんかん発作やてんかん性活動の遷延により阻害されてしまう状況をてんかん性脳症といいます。

可能な限り、その期間を短時間に短縮することが望まれますが、どの状況をどこまでの強度で治療すべきについては分かっていないことも多いです。

今後の研究や知見の集積が望まれます。