この記事では、覚醒時大発作てんかんについて説明しています。
はじめに
覚醒時大発作てんかん(epilepsy with grand mal on awakening:EGMA)は、1989年てんかんの国際分類で特発性全般てんかんの一部として呼称されました。
「grand mal:大発作」という用語自体が、適切ではないと近年では考えられていますが、この記事では一般的な呼称である覚醒時大発作てんかんを用います。
因みに「petit mal:小発作」は欠神発作を指します。
大発作とは、全身強直間代けいれんを指し、このてんかん症候群の発作の中核です。
発症
発症の好発年齢は10歳代です。
発作
全身強直間代けいれんが発作の中核です。
覚醒直後に発作が起きやすいことが特徴です。
欠神発作を半数に、ミオクロニー発作を2~3割に認めます。
特発性全般てんかんの診療の際には、目立つ症状である全身性けいれんのみならず、能動的な問診により「小さな」発作である欠神発作や、てんかん発作と思われにくいミオクロニー発作の併存を見逃さないことが大切です。
脳波
脳波は典型的には棘徐波・多棘徐波を認めます。
光突発反応を伴うことがあります。
治療
治療の第一選択薬はバルプロ酸ナトリウム:VPAです。
比較的、薬剤に反応しやすい(薬が効きやすい)てんかん症候群と考えられています。
第二選択薬では、ZNS、TPM、LEV、PBなどが挙げられることが多いです。
発作抑制は比較的容易ですが、薬剤の減量中止の際に再発が多いとされています。