脳腫瘍(視床下部過誤腫)

ここではてんかんを発症し得る疾患のなかで脳腫瘍、なかでも視床下部過誤腫について説明しています。

はじめに

てんかんは大脳皮質の過剰興奮により発作を繰り返す疾患です。

脳腫瘍のなかで皮質に発生するタイプではてんかんの原因疾患となり得ます。

しかし、大脳皮質下に発生する脳腫瘍でもてんかんを発症する可能性があることについても注目されています。

その代表が視床下部過誤腫(Hypothalamic hamartoma: HH)です。

視床下部過誤腫の特徴的な発作は笑い発作(gelastic seizure: GS)です。

視床下部過誤腫にはてんかんの他に思春期早発症を合併することがあります。

笑い発作とは

突発的に強制的な笑いが誘発されることが笑い発作の特徴です。

日単位の発作頻度であることが多いです。

薬剤抵抗性であることが多く、他の発作型を合併していることもあります。

視床下部過誤腫の存在する側と反対側の口角のみ引きつる発作もあり、側方性の特定に役立つことがあります。

診断と治療

視床下部過誤腫の診断には頭部MRIが有用です。

視床下部過誤腫を疑った場合は微小な腫瘍を見逃さないために冠状断の撮影を取り入れることが大切です。

また、発作の同定には発作時脳波が有用です。

治療は薬剤抵抗性であることが多いことから、外科治療、なかでも定位温熱凝固術が有効性が高く安全性も高いと考えられています。