てんかんの外科治療

ここではてんかんの外科治療について説明します。

はじめに

てんかんの外科治療は、その目的により根治手術と緩和手術に分けられます。

原則的には抗てんかん薬が無効な難治てんかんに対して外科治療の適応が検討されます。

難治てんかんのひとつの目安として良く用いられるのが、適切な抗てんかん薬を2~3種類以上、単剤もしくは多剤併用で2年間以上治療しても発作が1年以上抑制されず、日常生活に支障をきたす場合に難治てんかんとしましょう、という基準があります。

特に小児ではてんかん性脳症を代表とするてんかん性の活動が認知機能や知能に与える影響が不可逆的になる前に治療にふみきる必要がある場合があり、外科治療の適応とその介入のタイミングは大切と考えられます。

根治手術について

最もイメージしやすい根治術は焦点切除ではないかと思います。

例えば、MRIで画像的に病変を認め、脳波も所見も合致して、発作徴候も矛盾しないようであれば、抗てんかん薬による治療に反応しない場合は、焦点切除が検討されると思います。

ただ、そうならない症例が多くどこまで何のモダリティで手術にふみこむかが施設や専門性によりまだ定まらない部分ではないでしょうか。

代表的な疾患としては、皮質形成異常、瘢痕脳回、結節性硬化症(皮質結節)、Sturge-Werber症候群などが挙げられます。

緩和手術について

緩和治療は発作の完全消失を目指す治療ではなく、発作を頻度減少を目指す、もしくは失立・転倒のような生活の質を大きく落としかねない発作の強度減少することを目指す治療です。

緩和手術は、迷走神経刺激療法や脳梁離断術が代表的です。

迷走神経刺激療法は、左頸部の迷走神経に電極を固定し、前胸部皮下に留置したパルスジェネレーターで迷走神経を刺激する治療です。

最大の利点は、開頭手術を要さないことです。

迷走神経刺激療法の有効率は、大まかに50%の患者で50%以上の発作減少率と報告されています。

発作が消失しなくても、発作頻度が減少することにより、抗てんかん薬を減らせる可能性がある、本人の活動性が上昇する可能性がある、などの利点が挙げられます。