側頭葉てんかん

ここでは、側頭葉てんかんの一般的な内容について記載しています。

側頭葉てんかんとは

脳の中で側頭葉と呼ばれる部位から発作が始まるてんかんのタイプを側頭葉てんかんといいます。

大脳皮質

側頭葉は記憶や言葉、聴覚、感情などをつかさどっている領域です。

そのため発作では、精神や言葉、意識減損などの症状を呈することがあります。

多くの場合、20歳以前に発症します。

発症年齢は主に4歳から16歳で、平均10歳です。

発作のタイプ

典型的には、発作の前触れとしてみぞおちのあたりからあがってくるような違和感や意識減損(ぼーとする)から始まります。

その後、発作はくちをもごもごさせる、複雑に手を動かす(何かを触るなど目的をもった動きに似ている:自動症)などへ変化します。

タイプによっては、その後に全身のけいれんに移行することがあります。

原因

原因もタイプにより様々ですが、小児期に熱性けいれんの既往がある方が多いことから、側頭葉てんかんと熱性けいれんの関連性がいわれています。

熱性けいれんのなかでも、とくにけいれんの時間が長かったタイプ(けいれん重積)に関連性が特に高いと考えられています。

脳炎や頭部外傷、軽微な周産期異常の既往がある方もいます。

それ以外にも腫瘍なども原因となり得ます。

検査

MRI

頭部の画像検査(MRI)で、一側優位の海馬萎縮とFLAIR画像における海馬の高信号を呈する海馬硬化という所見が有名です。

腫瘍なども認められることがあります。

脳波

発作間欠期脳波では側頭前部に棘波、鋭波を認めます。

また、側頭部における間欠的律動性δ活動は、内側側頭葉てんかんの局在を示すといわれています。

治療

初期治療としては抗てんかん薬をトライしますが、それでも発作がおさまらない場合(目安として2剤以上の抗てんかん薬を使用して、2年以上経過しても発作がおさまらない場合)は早期に外科治療を検討することが勧められています。

側頭葉てんかんは、大きく内側側頭葉てんかんと外側側頭葉てんかんに分類されますが、特に「海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん」では、外科治療の成績が優れていることから、他の側頭葉てんかんと区別して呼称されることがあります。

術式には側頭葉前部切除術(anterior temporal lobectomy:ATL)、あるいは選択的扁桃体海馬切除術(selective amygdalo-hippocampectomy:SAH)があります。