抗てんかん薬の副作用

てんかんの治療でとても大切な抗てんかん薬ですが、副作用もあります。

今回の記事では、抗てんかん薬の副作用にはどのようなものがあるかについて説明したいと思います。

抗てんかん薬の副作用で頻度が多いもの:眠気

抗てんかん薬はたくさん種類があります。

また、それぞれ薬のタイプが違っていますので副作用のプロファイルも異なっています。

副作用が出やすい時期も、その副作用の種類によりまちまちです。

しかし、どのような薬でも一般的で頻度が多い副作用もあります。

それは「眠気」です。「倦怠感」などともひとによっては表現するかもしれません。

抗てんかん薬は脳の過剰な興奮を抑える、もしくは抑える力を増強させる力があります。

そのため、正常な脳の活動も抑えてしまうことがあり、「眠気」という副作用につながっています。

特に薬の飲み始めや増量をしたときは、眠気が出やすいといわれています。

そのため抗てんかん薬は一般的に少量から開始して少しずつ増やす必要があります。

人によっては、同じ量でもしばらく内服していると慣れる方もいらっしゃいます。

また、内服量が多い・血中濃度が高いときは一般的に眠気がでやすいです。

そのため、定期的に血中濃度を測定することがあります。

ただ、眠気はその方の生活の質を落としかねない重要な副作用のひとつだと思います。

担当医とその薬をその量で内服するのか、ということを効果と副作用とてんびんにかけてご相談頂くことをお勧めします。

アレルギー反応の一種(薬疹など)

抗てんかん薬に限らず、どの薬剤にもアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

しかし、抗てんかん薬のタイプによってはその頻度や、重症な薬疹が報告されているものがあります。

有名なのがカルバマゼピン(テグレトール®)、ラモトリギン(ラミクタール®)といった薬です。

発作が悪くなる?

意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、薬があわずに発作が悪くなってしまう方もいらっしゃいます。

特定の薬剤が、特定の発作を悪くする、というものもあります。

有名なのが、カルバマゼピン(テグレトール®)、フェニトイン(アレビアチン®、ヒダントイン®)によってミオクロニー発作や欠神発作が悪くなる可能性があることです。

ただ、どの薬にも可能性がありますので、もし新しい薬を始めてむしろ発作がわるくなってしまったら担当医とご相談頂くことを検討下さい。

ふらつき

ふらつきも一般的にどの薬剤でも起こり得る副作用のひとつです。

特に高齢者の方などではふらつき・転倒は怖い合併症です。

体重の変動・食欲

抗てんかん薬は、体重が増加する方向へ影響する薬、逆に減少する方向へ影響する薬があります。

具体的には、

増加:バルプロ酸ナトリウム(デパケン®、セレニカ®)、ガバペンチン(ガバペン®)

減少・ゾニサミド(エクセグラン®)、トピラマート(トピナ®)

汗をかきにくくなる・体温上昇・腎結石

汗をかきにくくなり、体温が上がりやすくなってしまう副作用も存在します。

てんかんのタイプによっては体温上昇をきっかけに発作が誘発されてしまう場合もありますので注意が必要です。

乏汗:ゾニサミド(エクセグラン®)、トピラマート(トピナ®)

その他(歯肉増殖、血球減少など)

その薬に特異的な副作用もあります。

歯肉増殖:フェニトイン(アレビアチン®)

血球減少:エトスクシミド(エピレオプチマル®)、ラモトリギン(ラミクタール®)、フェノバルビタール(フェノバール®)、フェニトイン(アレビアチン®)

高アンモニア血症・膵炎:バルプロ酸ナトリウム(デパケン®、セレニカ®)

唾液などの分泌物が増える:ベンゾジアゼピン系(マイスタン®、リボトリール®など)

最後に

少し怖い話が続いてしまいました。

残念ながら副作用が全くない薬はありません。

いわゆる新規抗てんかん薬は副作用が少なめと考えられていますが、あくまで一般的には、ということになります。

副作用の出方は人によって全く異なります。

当然、明らかな副作用なく内服を継続されている方も多いです。

一方で長期間内服する薬ですので、副作用が分かりにくくなっていたり、気づきにくいものもあります。

したがって、薬の飲んでいる時にどういった点に注意しながらフォローしていくのか、ということを共有することが重要だと考えています。