てんかん、けいれんと間違われやすい動きの代表的なものに、入眠時ミオクローヌスや悪寒・シバリングがあります。
ここでは、これらの見分け方のポイントなどについて説明していきたいと思います。
睡眠時・入眠時ミオクローヌス
てんかん・けいれんと間違われやすい気になる動きの代表的なものに入眠時ミオクローヌスというものがあります。
名称は少し大げさな感じです。
しかし、これは誰しもが経験のある「いわゆる寝ている時のぴくっ」とした動きです。
ミオクローヌスというのは、瞬間的な筋収縮の運動のことです。
別の呼称に、ミオクロニーと言ったりします。
ミオクローヌスには様々な原因がある
睡眠時・入眠時ミオクローヌスはだれでも起きることのある生理的な運動です。
これは異常な運動ではありません。
一方で、ミオクローヌスという動き自体は、てんかんの発作のひとつのタイプとして認められることもあります。
それ以外の様々な病気・疾患でも、瞬間的な自分の意図しない運動としてミオクローヌスは認められます。
すなわちミオクローヌスはてんかんなどの病気でもその症状として出ることがありますし、寝ている時の病気ではない自然な動きとしても認められます。
ミオクロニー発作を呈する代表的なてんかん症候群には若年ミオクロニーてんかんがあります。
ご参考までに参照されたい場合は以下のリンクからご参照ください。
睡眠時・入眠時ミオクローヌスの見分け方
それでは、これらをどうやって見分けるかというと、まずはその動きが出る時の状況が大切です。
当然、入眠時(睡眠時とも言います)ミオクローヌスは、寝ているときに認められます。
起きているとき(覚醒時)には認められません。
なかでも特に寝入りばなに目立つのと、成人よりも小児、特に赤ちゃんで目立つことが多いです。
動きは動画を見て頂くのが、良いと思います。一例としてYoutube動画を貼っておきます。
「sleep」、「myoclonus」、「neonate or baby」などで検索して頂くと、色々と出てくると思います。
観察のポイントは、動きをよく見ると一貫性がないことです。
手が動いたり、足が動いたりしています。また、小刻みな動きが目立ちます。
鑑別は、点頭てんかん(ウエスト症候群)があります。
点頭てんかん(ウエスト症候群)に関しては、以下のリンクからご参照下さい。
言葉で表現すると同じ「ぴく」、「ぴくつき」ですが、動きの特徴が異なります。
点頭発作は、比較的等しい間隔で、同じような動作を繰り返します。
また、発症年齢なども参考になるかもしれません(例外もありますのでご注意下さい)。
例えは、ぴくつきが生後6か月からでてきて、最近明らかに増えてきて寝てない時も出てきた、という状況では点頭てんかんの可能性があるかもしれません。
一方で、特にこれまで全く脳のご病気や、周産期に問題がなかった赤ちゃんが生まれてから数日で、上記の動画ような動きが出てきたら入眠時ミオクローヌスを疑うかもしれません。
しかし、場合によっては動きのみでなかなか判断が難しいこともあります。
そのような場合は、動画を撮影して医療機関に相談することも選択肢のひとつだと思います。
悪寒・シバリング
悪寒・シバリングもけいれんのような動きをする代表的な状態です。
特に小児で発熱した時などは、熱性けいれんとの鑑別が必要な場合があります。
悪寒・シバリングの動きの特徴としては、小刻みなふるえる動きが目立つことです。
持続時間は数秒くらいの短時間のことが多いです。
けいれんの場合は持続時間が数秒ということは少なく、数分ということが多いです。
動きに伴った意識の変化も確認できれば参考になります。
また、その動きが出た時に、目が動かなくなる(一転凝視)、片方に寄る(眼球偏視)・白目をむく(眼球上転)かどうかなども参考になります。
全身の動きが出た時にも目を動かして視線があう、という状況であれば悪寒・シバリングの可能性が高まります。
実際は、明確に区別できないこともありますが、これらの特徴を観察して頂くことは役に立つと思います。
その動き以外の意識(反応はどうか)・水を飲めるかなども見て頂くと良いと思います。
その他のてんかんを疑われることがある動きについて
上記以外のてんかんを疑われることのある動き・状態に関しては以下の記事もご参照下さい。