ビガバトリン(サブリル®)

この記事ではビガバトリン(サブリル®)について説明しています。

はじめに

ビガバトリン(Vigabatrin:VGB)は点頭てんかんに対する治療薬として、日本では2016年に承認された抗てんかん薬です。

点頭てんかんに関しては別の記事をご参照下さい。

「点頭てんかん(ウエスト症候群)」

点頭てんかんの治療選択肢のひとつとして大切なビガバトリンについての一般的な内容について説明します。

適応

現時点で(2020年11月)、ビガバトリンは点頭てんかんに対して適応承認されている薬剤です。

特に、結節性硬化症を基礎疾患とする点頭てんかんに有効性が高いことが知られています。

副作用

副作用には様々なものがありますが、ビガバトリンの特徴的な副作用に視野狭窄があります。

特に周辺の視野が罹患しやすいといわれています。

これは、現時点では治療法がなく不可逆的な副作用です。

また、この副作用は蓄積性にリスクが高まることが分かっていますので、薬剤の内服を可能な限り少ない量で短期間に抑えることが大切です。

しかしその一方で、大切な時期にてんかんをしっかり抑えることも大切ですので、そのバランスをとる必要があります。

そこで副作用に対する取り組みとして、全例の登録システムが稼働しています。

すなわち、小児神経科医、眼科医、薬剤師などが協力して診療できる登録された施設でのみ、ビガバトリンの処方可能で、また処方ごとに蓄積量がチェックされる仕組みになっています。

また、ビガバトリンとACTH療法の併用療法の有効性が海外で報告されていますが、近年併用により急性脳症・vigabatrin-associated brain abnormalities on magnetic resonance imaging (VABAM)の発生が起こる可能性についての報告があります(Epilepsia 2020; 61: e159-64)

有効性

様々なデータがありますが、点滴てんかんの最も重要なACTH療法にならぶ有効性が示唆されています(ビガバトリンが長期的な認知機能の予後でACTH療法に少し劣るというデータもあります)。

したがって、点頭てんかんの第一選択、第二選択の治療選択肢となり得ると思います。

特に結節性硬化症を基礎とする点頭てんかんに対しては特に有効性が高いことが知られています。

また、ACTH療法とは異なり内服薬であることも利点の一つです。

最後に

ビガバトリンは点頭てんかんに対して高い有効性を認める薬剤ですが、特に視野狭窄という副作用との兼ね合いが重要です。

当サイトの情報は出来る限り客観的に記載していますが、特定の治療や薬剤を推奨するものではありませんので、治療に際しては主治医と良くご相談されることをお勧めいたします。