意外と思われるかもしれませんが、乳児自慰はてんかんに間違われやすい動きのひとつです。
これから、その特徴やてんかんとの見分け方について説明したいと思います。
乳児自慰とは
乳幼児期に、特に女児で両足をクロスさせたり、ピンと伸ばしたりする動きを繰り返すことがあります。
その動きに伴って顔を紅潮させたり、息が荒くなったりするのでご両親は何か苦しいのではないかと思われて医療機関を受診される場合もあります。
このサイトの別の記事でもいつも記載しているとおり、やはりこのような場合は動きの観察や特徴の把握、それには動画撮影が役に立ちます。
まずは、このような動きが出る時の状況を確認します。
例えば寝ているときはこの動きはみられない、何かに気がそれるとぱっと止まる、などです。
動き自体は、様々なバリエーションがあり、毎回の動きもよくみると一貫性がありません。
うつ伏せで体幹をそらせるような動き、座れる年齢であれば両手を前について前傾になってこするような動きなどもみられます。
また、バギーのベルトなどが股に当たると、それにこするような姿勢を繰り返すこともあります。
両足に力を入れて、それを繰り返すと、ときに点頭発作のシリーズ形成を調べられて、それをご心配されて受診される方もいらっしゃいます(万が一点頭てんかんだった場合は早期治療が望まれますので、乳児自慰かどうか確信できず、少しでも点頭てんかんが疑われる場合は医療機関へのご相談をお勧めします)。
点頭てんかん(ウエスト症候群)に関しては、こちらをご参照下さい。
動き自体もそうですが、その動作の最中も目がきょろきょろすることができますので、目の動きはけいれん・発作との鑑別に役立ちます。
治療・対応
病気ではありませんので治療の必要は原則的にありません。
乳幼児に自慰をしているからといって性的な欲求が病的に高いという意味合いではなく、広い意味でクセのようなものと捉えていいのではと考えられます。
むしろ乳幼児の発達段階のなかで、口などに興味がいく時期もありますし、性器に興味がいく発達段階があります。
したがって、自然に時が経てば多くの場合その行為は目立たなくなってきます。
どうしてもよくみかけると親の方が無理に止めさせようと叱ってしまうこともあります、やはり多くの場合は自然におさまりますので、ゆったりを経過をみることも大切だと思います。
行為が認められたときに気をそらせる(おもちゃ・手遊びなど)などもひとつの対応法としてお勧めされています。